真のインフォームドコンセント
2020年06月03日
ネットからの引用です。
歯科治療の場合、保険の範囲で治療をしていても、長寿社会の日本では、おいしく食べたり、口を気にしないで話したりするために、最終的に決断してインプラントなどの高額治療を受ける人がいますが、一方で、歯科の病気が原因になって糖尿病や心筋梗塞などを合併し極めて不自由な生活になったり、アルツハイマ―型認知症となって家族の判別がつかず、妄想や暴力を振るうようになり、施設に入れられて自分自身でいられないような人生を過ごす人もいます。
健康長寿を願うならば、保険か自費かではなく、自分に必要な検診や予防を若くて元気なうちに受けておいたほうが一生を通して考えると低額になります。
そう考えると、日本の歯科医療の果たす役割は重く十分に価値があることです。保険の範囲を超える医療を単純に「高額だ!」と思うのは、その人自身の健康に対する認識が誤っているので残念なことです。
ちなみに、金額だけのことを云うと、アメリカでは、歯の根の治療をしたら1000ドル(10万円程度)くらいが相場です。その上にかぶせ物をしたら、さらに1000ドルくらいかかってしまいます。日本でしたら、会計窓口でそれぞれ3000円程度ですから、アメリカの医療費は32倍以上ということになります。
私がお伝えしたいのは、日本の保険制度を批判したいわけではなく、患者さんが保険制度の中身や限界を知って賢く「利用」してほしいと言いたいのです。
我が国の医療制度は、世界的にみて大変恵まれています。本来、健康の責任は自分にあるのですから、保険の対象にならない疾患や治療法に直面してからあわてるのではなく、保険制度の光と陰(限界の部分)を知った上で、自分の健康を守って頂きたいということです。
つまり、保険はダメで自費がいいということではなくて、真のインフォームド・コンセントを得ることが重要だということをお伝えしたいのです。
患者さんに強引に保険外治療をすすめて、無理やりに選択させるのではなく、逆に保険でいいからと言われて自費の治療の説明をしないのでもなく、保険治療におけるメリット(長所)・デメリット(短所)、そして保険外治療の「保険外治療はお金がかかる」というデメリットばかりではなく、メリットもきちんと情報提供して、選択肢をたくさん用意し、その中から患者さん本人が方法・金額などすべてを考慮した上で、ご自身がやりたいと希望された治療法を選択できるように手助けすることが、真のインフォームド・コンセントを得ることだと思っています。