口腔ケアでインフルエンザ予防
2020年01月29日
国で新型コロナウイルスによる新型肺炎が発生し、あっという間に全世界に広がりつつあります。
高齢者や基礎疾患を持っている方の死亡例も出ており、余談を許さないところです。
発熱等の症状が出ている人に対しては隔離等の対策も打てますが、感染はしているが発症はしていない状態だと、本人の自覚症状もなく、
発見はほぼ不可能なので国内に入ってくるのを完全に防ぐことは不可能です。
そのため、日頃からの予防が非常に大切となってきます。
新型肺炎の陰に隠れていますが、インフルエンザもまだまだ流行しております。
今年は暖冬の影響で、例年より患者数が少ないと言われていますが、インフルエンザも毎年、多くの感染者や死亡者が出ていますので、侮れない病気です。
インフルエンザの予防としては、しっかりとした「手洗い」「うがい」の徹底や「マスクの着用」が推奨されています。
そのほかに、実は、「歯磨き・口腔ケア」がインフルエンザの予防につながることをご存じでしょうか?
インフルエンザは、せきやくしゃみなどの飛沫を吸い込んだり、ウイルスが付着したものに触れたり、患者と握手をしたりすることで感染します。
少し専門的な話になりますが、鼻やのどなどの気道の粘膜に付着し、細胞内に侵入したインフルエンザウイルスは、ノイラミニダーゼと呼ばれる
たんぱく質を溶かす酵素のはたらきで細胞外に放出され、増殖して感染を拡大します。
タミフル、リレンザなどの抗インフルエンザ薬はインフルエンザウイルスに直接作用するわけではなく、このノイラミニダーゼのはたらきを抑え、
インフルエンザウイルスを細胞内に閉じ込めることで感染が広がるのを防ぐ薬剤です。
口腔内の細菌はインフルエンザウイルスを粘膜に侵入しやすくするノイラミニダーゼを出すため、口腔内を不潔に保っていると
インフルエンザに感染しやすくなります。
また、歯周病による炎症もウイルス感染を促進させます。
そこで、口腔ケアを行い、口腔内雑菌を減少させることで口腔内雑菌が産生するノイラミニダーゼの発生を少なくすれば、インフルエンザ感染を抑制できます。
奈良県歯科医師会の調査で、介護施設で歯科衛生士が高齢者に対しブラッシングや舌磨きの指導を実施したところ、通常の歯磨きをしていた施設に比べて
インフルエンザ発症率が大幅に減少することが示されました。
このように歯磨きなどをしっかり行うと、口腔細菌の温床となる歯垢を取り除き、インフルエンザ対策にもつながる可能性があります。
取り除けない歯石や歯周ポケットの歯垢は、歯科医院で定期的にクリーニングしてもらうと、より効果的です。
この冬のインフルエンザ対策に口腔ケアを加えてはいかがでしょうか。
また、この対策を行うことが、新型コロナウイルスによる新型肺炎の感染を予防することにもつながります。ぜひ、今日から実戦してみてください。