親知らずについて
2018年10月31日
親知らずは、正確には第3大臼歯と言います。人間の永久歯は上下左右の4ブロックに分けると、1ブロックあたり前歯3本、小臼歯2本、大臼歯3本で8本となりますので、口の中全体では32本となります。ただし、親知らずが生えてこない人や、元々ない人、抜歯する場合も多いので、通常は、永久歯は28本としてあつかう事が多いと思います。
最初に生えてくる永久歯は下顎の第1大臼歯です。通称「6歳臼歯」と言いますが、その名の通り6歳前後に生えてきます。最近は、下の前歯が先に生えてくる子供も増えて来ましたが、生える順番そのものは、特に大きな問題はありません。
それから年と共に順次、乳歯が永久歯に生え変わって行きます。子供が小さいうちは、親も関心を持って子供の口の中を観察していますが、この第3大臼歯はだいたい二十歳前後で生え始めることが多いので、さすがにその時期まで親が口の中まで観察することはないので、「親知らず」と言う通称がつけられています。
親知らずは抜歯することが多いと前述しました。それは何故かと言いますと、色々なトラブルの原因になりやすいからです。一番奥から生えてきますし、生え初めの時は歯の面が、かみ合わせの面よりも低いので、なかなか歯ブラシが届きにくく汚れが溜まりやすくなります。しっかり磨くためには、歯ブラシの角度を工夫したり、専用のブラシを使ったりする必要があります。磨き残しが溜まっていると、当然ながら虫歯になったり、周りの歯茎の炎症を起こしたりします。また、現代人は顎の骨が小さくなってきていると言われていますので、最後に生えてくる親知らずの萌出するスペースが足りなくなり、歯の一部しか萌出しなかったり、曲がって生えたり、下顎では真横に向いて顎の骨の中に埋まっていたりしますので、仮に治療をしたとしても、その後正常な機能を果たさないため、抜歯になるケースが多くなります。逆に言えば、親知らずであっても正常に萌出していれば、我々も最大限、保存する方向で治療を行います。親知らずと言えども、大事な歯です。
親知らずは顎の付け根付近にあるため、そこに強い炎症が起こると、強い痛みが出たり、大きな腫れが出たり、口が開かなくなったりします。場合によっては高熱が出たり、命に係るような重篤な感染症につながる事もあります。決してなめてかかってはいけない部分です。磨きにくい場所であるため、一度腫れが出ると歯と歯茎の間に歯石やプラークがこびりついてしまい、これは歯ブラシではとれないため、そこには慢性的な炎症が残ります。体の疲れが溜まったり、病気をしたり、大きなストレスを受けたりして体調が落ちると、からだの免疫力が落ちて炎症が活性化して腫れや痛みを繰り返すようになります。こうなると、保存が厳しくなります。
自分ではなかなか確認しにくい所ですので一度歯科医院で、レントゲン等で親知らずの状況を確認してもらい、先々を見越して今後保存するのか、抜歯するのか、清掃方法などをしっかりと指導してもらって下さい。