フレイルをご存知ですか?|熊本市南区の歯医者

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フレイルをご存知ですか?

2016年11月21日

フレイルという言葉を御存じでしょうか?超高齢化社会に加速している日本社会で、この問題を考える時のキーワードの一つです。

「フレイル」とは筋力が落ちたり、精神的な活力が落ちて虚弱になる事を言います。「体重が減った」「疲れやすい」「歩行が遅くなった」「以前は楽しみにしていた趣味をしんどく感じるようになった」などが典型的な変化です。生物である限り、必ず訪れる「死」に対して、ぴんぴんころりを誰もが夢見ていますが、現実にはそれを達成できた人は男性で約11パーセント、女性では、ほぼ0パーセントと言う数字が出ており、ほとんどの方が徐々に体力が低下して介護を受ける生活になって亡くなっていく事がわかります。男性で約9年、女性で約12年と言われる、いわゆる平均寿命と健康寿命の差をいかに埋めるかが、国の大きな課題となっています。

そのため、高齢者のフレイルを早期発見し、その進行をゆるやかにして自立した生活を営める「そこそこ元気」な期間をいかに延ばしていくかが重要なテーマになっています。こうした中で、歯科医療が重要な役割を果たす事がわかって来ました。例えば、栄養バランスをよく摂るには、自分の歯をできるだけ多く残し、あるいは義歯を使ってよく噛めるようにすることがとても大事です。よく噛めると、脳の血流が活発になり認知症になる割合が少なくなります。また、平衡感覚にも関与しているので寝たきりの原因の一つである転倒のリスクを軽減します。また、嚥下機能が落ちてきた時に、義歯の床を厚めに作る事によって嚥下補助床の役割を果たして誤嚥性肺炎の防止にもつながります。ちなみに肺炎は高齢者の死因の上位に位置しています。

私は毎年8020表彰式に参加しますが、皆さん本当にお元気で、趣味も多く、人生を謳歌されています。フレイルと対極にある方々だと思います。この事実をもっと世間に発信して行かなければいけません。

そこで、オーラル・フレイルが注目されてきます。日本歯科医師会のHPから引用しますと、「オーラル・フレイル」とは、直訳すれば「歯・口の機能の虚弱」です。歯・口の機能低下は、加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)や運動器症候群(ロコモティブシンドローム)の前兆とも考えられ、「オーラル・フレイル」の予防がひいては、全身の健康に寄与することもわかってきています。

特に、栄養面からみると、歯・口の健康への関心度が低く、歯周病や齲蝕を放置して重症化を招き、歯を喪失するなどして口の中の機能が低下していくと、滑舌が悪くなったり、食べることができないものが増えたりして、食欲低下やバランスの良い食事を摂ることができず、噛む力や舌の動き、食べる量が低下し、低栄養、代謝量の低下、サルコペニアを引き起こす要因となり、ひいては要介護状態に陥ることとなります。そのため、ささいな歯・口の機能の低下を軽視しないことが大切なのです。このわずかな歯・口の機能の衰えは、身体の衰えと大きく関わっているのです。厚生労働省と日本歯科医師会が平成元年から展開している「8020運動」に加え、東京大学高齢社会総合研究機構の協力の下、「オーラル・フレイルの予防」という新たな考え方を示し、健康長寿をサポートするべく、日本歯科医師会が平成27年から発信・啓発しているものです。「しっかり噛んで、しっかり食べ、しっかり動く、そして社会参加を!」という基本的な概念を早期から再認識し、結果的に意識変容、行動変容につなげることを目指しています。

当院でも情報の発信や研鑽等、積極的に取り組んで行かないといけない課題だと思っています。

 

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